2021.09.30

壁・床の仕組みと騒音対策〜床のリフォーム編〜 マンションの音はこうして伝わる!<2>

画像:yamasan / PIXTA(ピクスタ)

生活音が気になりやすいマンション生活。お隣や上下階からの音、自分の家から出る音、どちらも気になりますね。今回は騒音の中でも気になりやすい上階からのドスンという音の対策を、実際のリフォーム施工例とともに説明します。

子どものドタバタ音がうるさい時は床リフォームも効果的

人が歩くときに出る「ドスン」という鈍くて低い音を「重量衝撃音(LH)」といい、床のコンクリート(=コンクリートスラブ)が厚いほど音が伝わりにくくなります。

大人が静かに歩く足音は床下のコンクリートスラブ厚は180mm程度でもほとんど気になりませんが、子どもが走り回って遊ぶ足音なら200mm以上は必要です。

その場合、考えられる対策が床のリフォームです。

コンクリートと仕上げの床の間に100mm程度の空気層を造る構造(二重床)にしたり、コンクリートスラブの上にグラスウールなどの緩衝材を入れたりすると音は伝わりにくくなります。遮音等級でいうとLH-50以下の数値がほしいところです。ちなみにスプーンなど比較的軽いものを落としたときの音を「軽量衝撃音(LL)」といい、LL-45以下が望ましい数値です。この軽量衝撃音も二重床の部屋では少なくなりますが、防音カーペットなどを敷くことでも軽減できますし、最近は、遮音フローリング(遮音等級LL-45~-40)も多く採用されています。

床のリフォームで、遮音マットを敷いてみる

今回、リフォーム例として取り上げるのは、直床だったフローリングを剥がして遮音マットを敷く方法です。

こちらが施工前の直床のフローリング。

フローリングを剥ぐと、コンクリートスラブが現れます。

こちらがコンクリートスラブの上に遮音マットを貼ったところです。

もともとLH-50以下のコンクリートスラブでしたので、十分効果が発揮できます。

事例では無垢材のフローリングを貼ってリフォームしています。名刺1〜2枚分の紙を挟んでいるのは、無垢材が収縮・膨張するため。その分を考慮して間隔を空けながら貼っています。

リフォームが完了。コンクリートスラブ(直床)の上に重低音の「振動」を防ぐ遮音マットを施し、無垢材のフローリング施工をしました。

木材はセルロースとなる繊維材で、もともと吸音効果のある素材ですが、この事例では、底板に吸音材が貼られたフローリングを使用し、遮音マットとの相乗効果で防音性能を上げています。

床リフォームの際には天井の高さに注意

ただし、マンションの天井の高さは法律で2,100mmと決められているため、リフォームで床の高さが上がってしまう場合、天井側の調整が必要になることも。

例えばこちらの場合、左が施工前、右がリフォーム施工後ですが、仕上げ材まで入れて120mm立ち上がっています。

そのぶん、天井のダクトを考慮しつつ、このように天井側も調整して施工しています。

今回は防音のための対策として、床のリフォーム事例をご紹介しました。

次回は技術面だけでなく、間取りや隣人とのコミュニケーションの側面からも音対策を考えてみたいと思います。

【取材協力・写真提供】

(一社)日本住宅リフォーム産業協会(JERCO)元副会長・顧問

無垢スタイル建築設計(株)取締役執行役員 酒井裕三さん

取材・文/永井祐子

「マンションの音はこうして伝わる!」シリーズ

「第1回 壁・床の仕組みを知ろう」はこちら

関連記事「何の音? 突然上の階から異様な物音がするようになった!」弁護士が教える!マンション住民のための法律講座&相談 第4回

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