2021.03.18

元刑事に聞く!マンション空き巣対策〜その1 防犯テクのウソ・ホント〜

イラスト:にしぼりみほこ

全国犯罪啓蒙推進機構の折元洋巳さんは、元大阪府警の巡査部長でした。取り調べなどで数々の犯罪者から直接話を聞いたり、留置場の看守として犯罪者と24時間同じ屋根の下にいたときの経験や犯罪者の話をもとに、防犯についての指導や講演をしています。犯罪者の心理を知っているからこそのアドバイスをうかがいました。

〝空き巣〟は初心者でもやりやすい

折元さん(以下、折)「マンションでよく起こる犯罪の代表が侵入盗。いわゆる泥棒です。泥棒にも種類があり、留守宅を狙うのは『空き巣』、住人が夜寝ているときに入り込むのは『忍び込み』と呼ばれます。

こう言ったらなんですが、空き巣は特別なテクニックが必要なく〝素人〟でもできてしまう犯罪です。人がいない間を狙って家に入り込み、人がいないから自由に物色できます。

一方、忍び込みはプロ中のプロです。寝ている人を起こさないように侵入、物色してこっそり出て行く。高度なテクニックが必要です」

――となると、忍び込みより空き巣のほうが多いのでしょうか?

折「その通りです。空き巣犯は年齢を問わず、若者から年寄りまでいます。なかには捕まってから留置場や刑務所で先輩空き巣にアドバイスされて知恵をつけ、空き巣テクニックをアップデートして出所してくるものもいます」

――ええ!それは大変。こちらもそれ相応の対策をしないといけないですね。

折「最近は住人の防犯意識も高まっているので、さまざまなセキュリティグッズを使用している人も多いと思います。しかし、私から見ると『それ、役に立っていないですよ』というものがけっこうあるんです(笑)」

――それは困りますね…

折「では、次にあげる防犯に関する項目がホントかウソか、答えてください」

Q1 オートロックがあるマンションは防犯対策が完璧だ

答え:ウソ

折「『オートロックがあれば大丈夫』そう思った時点で防犯意識が下がっている、つまり空き巣にスキを見せているということになります。

オートロックを過信して家の鍵をかけない、なんてことはありませんか?

そこを空き巣は狙っています。

実は、オートロックは仕組みを知っている者にとっては簡単に入り込めてしまうシステムなのです。

また、オートロックがあるマンションの居住スペースにいるのは、住人が「入っていいよ」と認めた人だという固定観念があるので、空き巣がいても不審に思わないのです。

もし誰かとすれ違っても笑顔で挨拶をすれば、怪しまれることはほとんどありません。

空き巣にとって、これほど仕事がしやすい環境はないといえます。

オートロックのマンションでも、玄関ドアはきちんと施錠を。カギが2つあれば空き巣の解錠時間を引き延ばせるので、防犯効果が高まります」

Q2 空き巣は何日も前から下見をしている

答え:ウソ

折「私が取り調べをしたなかに、そんな空き巣はいませんでした。空き巣は『今日はこの街に行ってみようかな』とフラッとやってきて、ピンときたら『ここや!』と決めてパパッと入るのです。

よくテレビなどで『泥棒は家の外観を見ればどこに金品があるかわかる』と言っている人がいますが、あれもウソだと思います。空き巣は超能力者ではないので、そんなことがわかるはずがありません(笑)

空き巣は『ここや!』と思ったらとりあえず入ります。その家に金品があるかどうかは中に入ってからの勝負。盗むものがまったくない〝空振り〟もけっこうあるんです」

Q3 ほとんどの空き巣は窓から入ってくる

答え:ホント

折「多くの空き巣は窓から侵入します。高層階だからといって窓を施錠しなかったり、小窓なら大丈夫だろうという油断は禁物です。

近くに電信柱や丈夫な雨どいがあったり、運動神経に自信のある空き巣であれば、ベランダからスルスルっと入ってしまいます。

以前、私がかかわった事件で、マンションの高層階ばかりを狙った空き巣がいました。捕まえてみたら、元体操選手。スパイダーマンのようにベランダの手すりなどをよじ登っていましたが、これは特殊な例です。

また玄関から入った空き巣はベランダに出て隣家との間にある〝避難板〟を蹴破って、他の家への侵入をはかります」

元刑事さんならでは!常識をくつがえすような新事実を教えていただきました。次回は犯罪者目線で見た空き巣が本当にいやがる防犯術をうかがいます。

【取材協力】

折元洋巳(おりもと・ひろみ)

元大阪府警・巡査部長。留置所の看守として犯罪者と多く、また親しく面倒見をしていたことから、多くの警察官も知り得なかった犯罪者の本音を知っている。退職後に一般社団法人・全国防犯啓蒙推進機構を立ち上げ「犯罪者目線から語る防犯対策」などをテーマに防犯啓蒙活動を展開している。

折元さんが理事長をつとめる全国防犯啓蒙推進機構では、マンションの立地や構造などを踏まえて、防犯上注意すべき点やおすすめ改善法をアドバイスしています。うちのマンションを見てほしい!という方はウェブサイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

全国防犯啓蒙推進機構のウェブサイトはこちら

「その2 空き巣が本当に嫌がる防犯テクニック〜」は こちら

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