2021.11.07

「迷惑すぎ!ゴミ出しルール違反」弁護士が教える!マンション住民のための法律講座&相談 第7回

イラスト:おくむらゆきな

いざというときに役に立つ法律知識を学ぶ「マンション住民のための法律講座&相談」。教えていただくのはマンションの法律問題に詳しい弁護士の田村 裕樹先生です。第7回は、「ゴミ出し問題」。さまざまなライフスタイルの人が住むマンションでは、ゴミ出しの問題は頻繁に起きるトラブルのひとつです。法律から見た解釈と対応策についてうかがいます。

今回の相談

「うちのマンションのゴミ置き場は入口の隣にあります。たまに回収時間の後で生ゴミを出す人がいて、カラスがつついてひどいことになります。ゴミ出しのルール違反を止めることはできないでしょうか?」(東京都 H・Iさん)

ゴミ出しルール違反と裁判

ゴミ出しは誰もが行うことだけに、トラブルが起きやすい問題です。自治体ごとの違い、マンションごとの違いなどもあって、悪気はなくてもルール違反になってしまうことも。注意された経験がある方も多いのではないでしょうか。ルール違反のゴミ出しを解決する方法はあるのでしょうか?

田村先生「ゴミ出しに関するトラブルは、確かに身近な問題です。ご近所さんにちょっと注意された、くらいの話まで含めれば、日本全国のあちこちで毎日のように起きているでしょうね。

でも、『ゴミ出しルール違反』自体が裁判で争われるケースはあまりないんですよ。」

「ゴミ出しルール違反」が一般常識の範囲を超える場合

そうなんですか……。でも、「ゴミマンション問題」のときに「最近増えている問題」だとお聞きしましたけど……?

※第3回「隣の部屋がゴミ屋敷!一体どうする?」参照

田村先生「『ゴミマンション問題』と今回のご質問のケースとの違いは、“ゴミが存在する期間”です。

ご質問のケースでは、問題の生ゴミ自体はごく短期間で処理されると思われます。おそらく管理会社ないし管理者の方、または住人の誰かが片付けたりして、どんなに遅くとも次の回収日までには回収されるでしょう? 継続してずっと生ゴミがあるわけではなく、いったんはきれいになるんですね。

ときどきこういうことがあるとしても、1回こっきりの問題が何度かあった、ということになります。これがもし、ゴミだらけの状態が長期間にわたってずーっと続いているということであれば『ゴミマンション問題』になる。そういう違いです。

ご質問のケースの場合、確かにマンションで決まっているゴミ出しルールに違反しているのだけど、一般常識の範囲内で、マンション内で処理されている場合が多いのではないでしょうか。具体的には、管理組合がルール違反者と話し合いを持つとか、ゴミ出しルールの遵守を折にふれて周知するとか……ルール違反者が誰だかわからないなど問題はたくさんあるでしょうけど、地道に対応されているのだと思います。

仮に、ゴミ出しのルールに必ず違反する人がいて、『処理しても悪臭がすごい』とかの場合であれば、裁判なども考えられるかもしれません。この場合は、被害の範囲が『受忍限度』(※第4回「何の音? 突然上の階から異様な物音がするようになった!」参照)を超えているかどうかが問題になります。

また、『ゴミ集積所がいつも汚くて不潔』であるということなら、管理上の問題ということも考えられます。この場合、管理組合に対して改善を要求してみることはできるでしょう。」

ポイントになるのは「受忍限度」

では、たとえば「ゴミ集積所の真上の部屋に住んでいて、生ごみの回収日はいつも異臭がする」という場合、管理組合に集積場を変えてもらうように要求することはできるでしょうか。

田村先生「ゴミ集積所がある場所をマンション購入時にすでにわかっていた場合、それを承知のうえで購入したわけですから、簡単には変更は認められないでしょう。もし誰の迷惑にもならない代わりの場所があるなら、要求してみてもよいでしょうけど。

一方、『臭気が漏れない密閉型の容器を設置してほしい』という要求なら認められる可能性はあるかもしれません。

いずれにせよ、臭気などによる迷惑が『受忍限度』を超えると認められるかどうかがポイントになります。」

ルール意識を共有してよりよい環境に

ゴミ出しルール違反の対策は他にどんなものが考えられますか?

田村先生「限度はありますが、ゴミ出しのルールを変更あるいは追加していくという方法は考えられると思います。

たとえば、指定のゴミ袋に名前を記入して出すことにする、ゴミ集積場に監視カメラを設置して監視するなど。マンションの『使用細則』(※第6回「駐車場に不審な車がとまっている……」参照)の変更を検討してもよいでしょう。

変更・追加いずれにしても、目的は処罰ではなく住民間でルール意識を共有することです。全員にとってよりよい住環境に改善していくために、積極的に周知することを心掛けましょう。」

先生の回答まとめ

「『ゴミ出しルール違反』自体が裁判に持ち込まれるケースはあまりない。管理組合に管理の改善を要求することは考えられる。裁判では、受けた損害が『受忍限度』を超えていると認められる必要がある。ルールの変更・周知によって状況を改善できる可能性がある。」

弁護士が教える!マンション住民のための法律講座&相談シリーズ

第1回「マンション住民が知っておくべき法律基礎知識は」こちら

第2回 「廊下に物を置いている人がいて片付けてくれない」はこちら

第3回「隣の部屋がゴミ屋敷!一体どうする?」はこちら

第4回「何の音? 突然上の階から異様な物音がするようになった!」はこちら

第5回「「下の部屋で水漏れ発生。加害者になってしまった?」はこちら

第6回「駐車場に不審な車がとまっている……」はこちら

監修:田村裕樹(たむらひろき)/弁護士。京都府出身。東京大学文学部(日本文学)卒。都内出版社にて編集職に従事。一橋大学法科大学院修了。青山学院大学院修士(税法務))修了。東京弁護士会所属(61期)。企業法務、不動産法務、税金に関する法務、知的財産権法務、一般民事法務、家事法務など多岐の分野にわたって活躍。マンション法務に関する造詣も深く、講師経験も多数。マンションに関する著書に『専門士業と考える 弁護士のためのマンション災害対策Q&A』(第一法規株式会社、共編著)、『マンションにおける共同利益背反行為への対応—区分所有法57条 58条 59条 60条の実務』(日本加除出版、共著)がある。

弁護士 田村裕樹:https://tamura-bengoshi.com

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