マンションなどの集合住宅は、地域社会のコミュニティの最小ユニットといえます。分譲住宅の場合は特に、構造体を共有している=資産を共有しているということ。だからこそ、お互いに協力しあって維持・管理をしていく必要があります。ペットを飼っている人もそうでない人も、ともに快適に暮らしていくためには、住人同士の連携が重要となります。連携がとれたコミュニティであれば、もし問題が起きたとしても、住民の意識次第でトラブルにならずに解決できます。
困っているのは人間だけじゃない
動物をめぐるトラブルは、飼い主の認識不足によることがほとんど。自分の犬がよその人にじゃれついているのは微笑ましい、ですか? じゃれつかれている人は迷惑だけど言い出せないだけかもしれませんよね。
自分は大丈夫と思っていても、他人はそうではないことを知っておくことです。そして、それは人間だけではなく犬や猫も同じなのです。金巻さん「もし自分のナワバリにマーキングされたら? 犬も猫も自分のおしっこやウンチで自分の匂いを上書きしてカバーしようとするでしょう。自分のナワバリ前に無遠慮にウロウロされたら、犬ならやめてと吠えたくなるでしょう。でもそんなことをしたら飼い主が怒るに決まっている。それでは、ストレスが溜まってどんどん悪循環に。迷惑行為とは何かを知っておくことは、周りの『人』だけでなくシッポ住民の『よそのコ』に対しても大事なことなんです」
問題が起きたとき、日頃の関係性がポイントになる
イラスト:きりの / PIXTA(ピクスタ)
こうしたトラブルが起きたとき、「住民たちのコミュニティに対する姿勢」の違いが、その後の状況を大きく変えます。
金巻さん「もし問題が起こったとき、もめるコミュニティは、まず自分の立場からの主張に始まり、飼い主とそうでない人の責め合いとなり、次第に感情的になって裁判まで至ることも。こうしたことは周囲にも広がりますから、マンションとしての資産価値も下がってしまいます。
反対にもめないコミュニティは、『このコミュニティでお互いに楽しく暮らすためにはどうしたらいいか』という問いかけからスタートします。コミュニテイに合わせてルールを見直したり申し合わせをしたりすることで、問題に対処しようとするわけです。誰かにしわ寄せがいかないようにすることで、みんなが納得してルールを守り、結果的にコミュニティとしての質が高まることになります」
こうしたコミュニティづくりのために重要なのが、管理組合です。管理組合がきちんと機能していないようなら、トラブル解決のためにも機能するように行動しましょう。管理組合は区分所有者(マンションを買った人)全員で構成されるものですから、ペット問題にとどまらず、みんなが自分ごととして少しずつ協力し、日頃から前向きに取り組んでいきたいものです。早いうちにトラブルの芽を摘んでおくと、長引くこともなくこじれることもありません。苦情があったとしても言いやすい、話し合える雰囲気があればそれが可能です。そのためには、普段から声をかけやすい関係を作っておくことがとても大事になります。
「第1回 ペットトラブルは飼い主が原因!?」はこちら
「第3回〜ペット飼育の細かい決まりは「管理規約」にあり!〜」はこちら
監修:金巻とも子(かねまきともこ)/一級建築士、博士(工学)、家庭動物住環境研究家。建築設計業務の他、家庭動物との住まいをテーマにした住宅建築と生活商品開発に携わり、行政や獣医師会等に協力し、適正飼養に向けた環境整備の推進にも取り組んでいる。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。工学院大学建築学部非常勤講師。東京都動物愛護推進員。
一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房URL:http://pal-design.jp
5月29日、6月5日に、TBSラジオ「週末ノオト」にゲスト出演します。
ペットと暮らすマンションライフ 第2回 〜ペットトラブル解決のカギは隣人とのコミュニケーション〜
マンションなどの集合住宅は、地域社会のコミュニティの最小ユニットといえます。分譲住宅の場合は特に、構造体を共有している=資産を共有しているということ。だからこそ、お互いに協力しあって維持・管理をしていく必要があります。ペットを飼っている人もそうでない人も、ともに快適に暮らしていくためには、住人同士の連携が重要となります。連携がとれたコミュニティであれば、もし問題が起きたとしても、住民の意識次第でトラブルにならずに解決できます。
困っているのは人間だけじゃない
動物をめぐるトラブルは、飼い主の認識不足によることがほとんど。自分の犬がよその人にじゃれついているのは微笑ましい、ですか? じゃれつかれている人は迷惑だけど言い出せないだけかもしれませんよね。
自分は大丈夫と思っていても、他人はそうではないことを知っておくことです。そして、それは人間だけではなく犬や猫も同じなのです。金巻さん「もし自分のナワバリにマーキングされたら? 犬も猫も自分のおしっこやウンチで自分の匂いを上書きしてカバーしようとするでしょう。自分のナワバリ前に無遠慮にウロウロされたら、犬ならやめてと吠えたくなるでしょう。でもそんなことをしたら飼い主が怒るに決まっている。それでは、ストレスが溜まってどんどん悪循環に。迷惑行為とは何かを知っておくことは、周りの『人』だけでなくシッポ住民の『よそのコ』に対しても大事なことなんです」
問題が起きたとき、日頃の関係性がポイントになる
こうしたトラブルが起きたとき、「住民たちのコミュニティに対する姿勢」の違いが、その後の状況を大きく変えます。
金巻さん「もし問題が起こったとき、もめるコミュニティは、まず自分の立場からの主張に始まり、飼い主とそうでない人の責め合いとなり、次第に感情的になって裁判まで至ることも。こうしたことは周囲にも広がりますから、マンションとしての資産価値も下がってしまいます。
反対にもめないコミュニティは、『このコミュニティでお互いに楽しく暮らすためにはどうしたらいいか』という問いかけからスタートします。コミュニテイに合わせてルールを見直したり申し合わせをしたりすることで、問題に対処しようとするわけです。誰かにしわ寄せがいかないようにすることで、みんなが納得してルールを守り、結果的にコミュニティとしての質が高まることになります」
こうしたコミュニティづくりのために重要なのが、管理組合です。管理組合がきちんと機能していないようなら、トラブル解決のためにも機能するように行動しましょう。管理組合は区分所有者(マンションを買った人)全員で構成されるものですから、ペット問題にとどまらず、みんなが自分ごととして少しずつ協力し、日頃から前向きに取り組んでいきたいものです。早いうちにトラブルの芽を摘んでおくと、長引くこともなくこじれることもありません。苦情があったとしても言いやすい、話し合える雰囲気があればそれが可能です。そのためには、普段から声をかけやすい関係を作っておくことがとても大事になります。
「第1回 ペットトラブルは飼い主が原因!?」はこちら
「第3回〜ペット飼育の細かい決まりは「管理規約」にあり!〜」はこちら
監修:金巻とも子(かねまきともこ)/一級建築士、博士(工学)、家庭動物住環境研究家。建築設計業務の他、家庭動物との住まいをテーマにした住宅建築と生活商品開発に携わり、行政や獣医師会等に協力し、適正飼養に向けた環境整備の推進にも取り組んでいる。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。工学院大学建築学部非常勤講師。東京都動物愛護推進員。
一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房URL:http://pal-design.jp
5月29日、6月5日に、TBSラジオ「週末ノオト」にゲスト出演します。
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